Nikkei Paper, 2023/5/27 朝刊
認知症や障害で判断力が不十分な人の財産管理などを代行する成年後見人らのうち、24%が報酬を求めていなかったことが、最高裁判所の初の実態調査で分かった。これらの大半は親族だが、司法書士ら専門職が務めたケースもあった。
最高裁は「利用者の財産が少なく、報酬を回収する見込みがないと考えたのではないか」と推測。無報酬を放置すると担い手不足につながるため、政府は専門性に応じた報酬設定のあり方を検討している。
成年後見人は親族らの申し立てに基づき、家庭裁判所が親族や専門職などから選ぶ。報酬額の明確な基準はなく、請求があれば裁判官が業務内容や所有財産を考慮し、金額を決める。
調査は2021年の4812件の報酬実態を分析。1141件(24%)は報酬の請求がなかった。専門職や法人が報酬を求めていないケースも113件含まれていた。
請求があった3671件の平均報酬は年33万円。専門職は弁護士43万円、司法書士35万円、社会福祉士26万円だった。利用者の財産が1千万円以下の場合の平均報酬は年20万円台で、1億円超だと91万円だった。
報酬を巡っては、利用者側からも「業務の割に金額が高い」として、透明性のある制度を求める声が出ている。